快慶の仏像を一覧で紹介!運慶との関係と違いは?

慶派

運慶と聞けば、すぐに快慶を思い浮かべる方は多いはず。

でも、快慶という名前は知っているけれど、どんな仏像を残したのかはよくわからないのではないでしょうか。

そんなあなたのために、快慶の仏像を一覧でご紹介。

運慶と快慶の関係と違いも解説します^^

快慶とは?

快慶(かいけい)は、鎌倉時代初期に活躍した仏師として有名です。

「運慶、快慶」と並び称されることが多いですね。

快慶は生まれた年が不明ですが、12世紀半ばの生まれであることはたしかです。

亡くなった年も不明ですが、快慶の弟子・行快(ぎょうかい)が制作した京都・極楽寺の阿弥陀如来立像の納入品から、1227年8月12日にはすでに亡くなっていたと推定されています。

快慶は若いころに運慶の父・康慶の弟子となり、1189年に奈良・興福寺の弥勒菩薩坐像(みろくぼさつざぞう)を制作しました。

現在、アメリカのボストン美術館に所蔵されていますが、これが現存最古の快慶作品です。

快慶はその後、次々と仏像を造っていきました。

運慶らとともに制作した東大寺南大門の金剛力士像は特に有名ですね。

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快慶の仏像の特徴は、表現が繊細かつ端正で、落ち着いた雰囲気をまとっていることです。

その作風は「安阿弥様」(あんなみよう)と呼ばれ、絵画のような美しさだと評されています。

快慶は、熱心な浄土教の信仰者でした。

そのため、阿弥陀如来像(とりわけ1メートル以下)の制作が多いのが特徴です。

また、現存する作品の多くに銘が残されているのも特徴です。

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快慶の仏像を一覧で紹介!

快慶の在銘作品

弥勒菩薩像(アメリカ、ボストン美術館)
弥勒菩薩像(京都、醍醐寺)重要文化財
阿弥陀如来像(京都、遣迎院)重要文化財
大日如来像(滋賀、石山寺)重要文化財
阿弥陀如来および両脇侍像(兵庫 浄土寺)国宝
四天王像(和歌山 金剛峯寺)重要文化財
執金剛神像・深沙大将像(和歌山 金剛峯寺)重要文化財
孔雀明王像(和歌山 金剛峯寺)重要文化財
阿弥陀如来像(兵庫 浄土寺)重要文化財
菩薩面(兵庫 浄土寺)重要文化財
阿弥陀如来像(広島 耕三寺)重要文化財
菩薩像(静岡 伊豆山浜生協会)
僧形八幡神像(奈良 東大寺)国宝
如来像 頭部(三重 新大仏寺)重要文化財
如来像 手(アメリカ ハーバード大学美術館)
菩薩像 耳(個人)
阿弥陀如来像(奈良 東大寺)重要文化財
不動明王像(京都 醍醐寺)重要文化財
金剛力士像(奈良 東大寺)国宝
文殊菩薩および侍者像(奈良 安倍文殊院)国宝
大日如来像(東京芸術大学)
阿弥陀如来像(栃木 真教寺)
阿弥陀如来像(京都 松尾寺)重要文化財
阿弥陀如来像(大阪 八葉蓮華寺)重要文化財
阿弥陀如来像(奈良 安養寺)重要文化財
阿弥陀如来像(奈良 西方寺)重要文化財
阿弥陀如来像(和歌山 遍照光院)重要文化財
阿弥陀如来像(京都 悲田院)
地蔵菩薩像(京都 如意寺)
地蔵菩薩像(アメリカ メトロポリタン美術館)
執金剛神像・深沙大将像(京都 金剛院)重要文化財
阿弥陀如来像(大阪 大圓寺)
地蔵菩薩像(奈良 東大寺)重要文化財
阿弥陀如来像(岡山 東壽院)重要文化財
地蔵菩薩像(大阪 藤田美術館)重要文化財
十大弟子像(京都 大報恩寺)重要文化財
阿弥陀如来像(奈良 光林寺)重要文化財
阿弥陀如来および両脇侍像(和歌山 光臺院)重要文化財
釈迦如来像(アメリカ キンベル美術館)
阿弥陀如来像(三重 安楽寺)
阿弥陀如来像(滋賀 圓常寺)重要文化財
阿弥陀如来像(京都 大行寺)重要文化財
阿弥陀如来像(奈良 西方院)重要文化財
金剛薩埵像(京都 隨心院)重要文化財

快慶の重要作品

千手観音像(京都 清水寺)重要文化財
菩薩像(京都 勝龍寺)
菩薩像(アメリカ フリーア美術館)
阿弥陀如来像(京都 知恩寺)
阿弥陀如来像(大阪 藤田美術館)
観音菩薩像・勢至菩薩像(栃木 地蔵院)
観音菩薩像(個人)
金剛力士像(京都 金剛院)重要文化財
善導大師像(奈良 来迎寺)重要文化財
不動明王像(アメリカ メトロポリタン美術館)
兜跋毘沙門天像(京都 青蓮院)重要文化財
阿弥陀如来像(浄土宗)重要文化財
阿弥陀如来像(京都 正法寺)重要文化財
阿弥陀如来像(石川 尾添区)
西大門勅額八天王像(奈良 東大寺)重要文化財
不動明王像(京都 正壽院)重要文化財
聖観音像(奈良 東大寺)重要文化財
菩薩形像(静岡 鉄舟寺)
阿弥陀如来像(静岡 新光明寺)重要文化財
阿弥陀如来像(三重 専修寺)重要文化財
阿弥陀如来像(京都 極楽寺)重要文化財

現存する快慶の仏像は、60点以上にも上ります。

運慶の倍以上ですね。

中世以前の仏師としては、もっとも多くの仏像を残しています。

なぜ快慶が多くの仏像を残しているのかというと、運慶とくらべ、たしかに本人の作品だとわかっている「真作」(しんさく)が多いことが理由の1つに挙げられるでしょう。

快慶は、自身の仏像に「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」という銘を刻んでいました。

当時、銘を刻む仏師は珍しかったので、すぐにわかるのです。

ちなみに、アメリカのボストン美術館に所蔵されている「弥勒菩薩像」が、現存する快慶の仏像のなかでもっとも古いと考えられています。

運慶も自身の仏像に銘を刻んでいてくれたら、もっと真作が多かったでしょうね。

そうした点は、やや残念です。

運慶と快慶、2人の関係はどうだった? 違いは?

運慶と快慶が親子や兄弟、親戚だと思っている方は多いのではないでしょうか?

私もかつては、そう思い込んでいました(汗)

でも、2人のあいだに血のつながりはありません!

一方、運慶と快慶は、2人とも運慶の父・康慶(こうけい)の弟子です。

なので、「兄弟弟子」という関係にはあります。

どちらが年上だったのかは明らかではありませんが……

ちなみに、2人の仏像の作風は明らかに異なっています。

運慶の仏像は、立体感があって迫真的。

一方の快慶の仏像は、絵画的で端整。

ひょっとしたら、作品だけでなく、性格も対照的だったのかもしれませんね^^

▼運慶と快慶が属した慶派について知りたい方は、こちら↓↓↓

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まとめ

  • 快慶は運慶らとともに東大寺南大門の金剛力士像(仁王像)を制作したことで有名
  • 現存する快慶の仏像は60体以上
  • 運慶と快慶は血縁ではなく、兄弟弟子
  • 運慶の仏像は立体感があり迫真的、快慶の仏像は絵画的で端整
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