特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」観覧レビュー

特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」観覧レビュー 仏師

必見! 国宝運慶仏7体の「奇跡の共演」

2025年10月7日(火)、特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」に行ってきました♪

今回は、そのレビュー記事です。

奈良県の興福寺北円堂は、1180年の南都焼き討ちによっていったんは焼失しましたが、その後、再建されました。

そのとき、運慶率いる仏師集団の慶派が大活躍し、北円堂の仏像を制作しました。

特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」は、その再建当時の内部を再現しようと試みた展覧会です。

展示されているのは、興福寺北円堂の本尊・弥勒如来(みろくにょらい)坐像、無著(むじゃく)菩薩立像、世親(せしん)菩薩立像、四天王立像の7体で、すべて国宝!

興福寺北円堂はふだん非公開で、弥勒如来坐像は約60年ぶりの寺外公開です。

しかも、四天王像は、むかし北円堂に安置されていた可能性が高いとされる作品です。

つまり、これら7体の組み合わせは、「運慶 祈りの空間」展でしか見られない奇跡の共演となっているのです!

これが興奮しないでいられるでしょうか?

私は、観覧に行く何日も前からウキウキワクワクしていました(笑)

▼特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」の概要は、こちらをクリック↓↓↓

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観覧当日はテンション爆上がり!チケットは前売り券がおトク!

入場門脇の看板に胸が躍る♪

入場門脇の看板に胸が躍る♪

当日は平日でしたが、上野はかなりの人出で、にぎわっていました。

東京国立博物館へ通じる入場門の脇に運慶展の看板が掲示されていましたが、これが目に入ったとたん、テンション爆上がりとなりました(笑)

事前情報だと、当日入場券を買おうとすると並ぶと言われていましたが、売り場に行列はできていませんでした。

私は妻と行ったのですが、2人とも前売り券を買っていたので、スムーズに敷地内へ入ることができました^^

ちなみに、当日券は、一般が1700円、大学生900円、高校生600円ですが(中学生以下は無料)、前売り券だと、一般が1500円、大学生が700円、高校生が400円です。

行くと決めているなら、断然、前売り券を買ったほうがおトクになります^^

東京国立博物館

東京国立博物館

入場門をくぐると、目の前には東京国立博物館の建物が威風堂々とした趣(おもむき)で建っています。

運慶展の垂れ幕でテンションアップ♪

運慶展の垂れ幕でテンションアップ♪

東京国立博物館の建物には、運慶展の垂れ幕がかかっていました。

さらにテンションのギアが1段上がります(笑)

……と、写真を撮れるのはここまで。

会場内は撮影禁止です。

博物館本館の玄関を入って正面が、特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」の会場の特別5
室です。

入口では、音声ガイド機が貸し出されていました。

今回の音声ガイドを務めるのは、俳優の高橋一生(たかはし・いっせい)さん。

事前に情報を得ていて、ぜひ聴いてみたいと思っていたので、迷わず借りることにしました。

貸出料は、1機600円です。

一方、アプリでの配信版もあって、こちらは700円。

音声配信期間中は、どこでも何度でも聴くことができるというのがメリットです。

このメリット分が、ガイド機より100円高い理由なのでしょうか?

貸出機のヘッドホンを使いたくないという人にも、アプリ配信版はいいかもしれません。

▼高橋一生さんが語る運慶論は、こちらをクリック↓↓↓

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ハンパない運慶仏の存在感で満たされた「祈りの空間」を堪能♪

会場に足を踏み入れると、目の前に、興福寺北円堂の本尊・弥勒如来坐像が現れます。

遠くのほうから静かにじっと自分を見据えられているような感じがして、距離はあるのに強い存在感を感じました。

そして、弥勒如来坐像の後方すぐの右手には無著菩薩立像。

左手には世親菩薩立像が立っています。

遠くから見てもデカい!

なんたって、どちらも190cm以上の高さですからね。

プロのバスケットボール選手が2人並んで立っているかのような存在感があります。

そして、会場の四隅には、四天王像。

会場入口から見て、弥勒如来坐像の手前右に持国天(じこくてん)。

手前左に増長天(ぞうちょうてん)。

弥勒如来坐像の後方右に多聞天(たもんてん)。

後方左に広目天(こうもくてん)。

4体とも、中央の弥勒如来坐像に背を向け、外からの脅威に向き合うように立っています。

この四天王像は、以前は中金堂にあり、運慶の父・康慶(こうけい)の作品だと推定されていました。

しかし、最近の調査と研究によって、運慶の作品で、もともとは北円堂にあったと推定されるようになったのです。

四天王像は、どれも動きが大きく、ちょっとでも本尊の弥勒如来坐像に悪さをしようなんて邪(よこしま)な気持ちを抱いて近づこうものなら、すぐにねじ伏せられてしまいそうなド迫力を感じました^^;

おーコワ(汗)

この運慶展では、これら7体の運慶仏の周囲をグルリと回れるため、四方八方から、それもかなり近寄ってじっくり観ることができるのが特徴です。

なので、表情や筋肉の張り方や衣の襞(ひだ)なんかを、つぶさに観察することができます。

とりわけ印象的だったのが、玉眼(ぎょくがん)です。

玉眼は眼の部分に水晶やガラスのレンズをはめ込み、仏像がまるで生きているかのような効果を生み出す技法ですが、これが無著菩薩立像と世親菩薩立像にはめ込まれています。

パッと見、玉眼がはまっているかどうかはわからないのですが、観る角度を変えると、会場の照明が反射してキラッと光るので、それで玉眼だとわかります。

無著よりも世親のほうが目の開き方がやや大きいので、玉眼だとわかりやすいのですが、その眼が涙をたたえているように見えたのが印象的でした。

音声ガイドでは、平氏による南都焼き討ち(1180年)を憂(うれ)う様子を玉眼で表現しているかのようにも見えると解説されていました。

この2体だけに玉眼が採用されたのは、同じく音声ガイドによれば、無著と世親の2人は実在した兄弟僧で、弥勒如来や四天王とは異なる現実感を表現したかったのではないかとのことでした。

このように会場は、ハンパない運慶仏の存在感で満たされた「祈りの空間」と化していました。

北円堂の雰囲気にどっぷり浸った1日でした♪

特別展「運慶 祈りの空間——興福寺北円堂」は、運慶仏7体のみの展示ですが、再建当時の興福寺北円堂の雰囲気にどっぷりと浸(ひた)ることができました♪

もう2度と実現しないかもしれない運慶仏7体の組み合わせを自分の目で観ることができたのは、めったに味わうことができない貴重な経験でした^^

いつまでもその雰囲気に浸っていたい、帰りたくない、という心境でした^^;

なお、観覧するなら音声ガイドがオススメです。

高橋一生さんのトーンを抑えたわかりやすい解説が、観覧の質をグッと高めてくれます。

▼運慶作品のリストや特徴について知りたいという方は、こちらをクリック↓↓↓

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